4年に渡って放送された、
あいこの両親の復縁話も遂に決着!
と誰もが思ったその時、訪れた不幸。
もはやこの家族に安らぎの時はないのか、それとも……
今月? もテレビじゃ聞け(るわけが)ない絶妙トークで
どれみのニュースを斬りまくり、です。
ハナの思わぬ一言がきっかけになったのか、
再婚は本人同士の問題と割り切っていたあいこは、
自分の気持ちを素直に両親に伝えることを決意。
そして父と共に大阪に向かい、切り出された復縁話。
それを了承したあつこの胸に、あいこは感極まって飛び込む……
しかし、ここで一つ問題が。老いたあつこの父・惣一の介護は、
自分が見なければならない……祖父と話をするため、
あいこ一家はあつこの実家に向かうが、
家の前には救急車が……
倒れてしまった祖父の介護のため、再婚話は白紙に戻ってしまう。
幼き頃から抱き続けた願いを、求め続けたささやかな幸せを、
手に届く寸前で打ち砕かれてしまったあいこは、もはや平静さを失っていた。
T――しかし、あいこの家族も一難去ってまた一難、だよね。遂にお父ちゃんとお母ちゃんが和解して、一緒にやり直そうと歩み寄った矢先に、おじいちゃんが倒れてしまうなんて言葉が見つからないよ……。
O――え? どれみのおじいちゃんが?
T――違うよ! あつこさんのお父ちゃん、つまりあいこのおじいちゃんがだよ!
O――遂に迎えぼくろ≠ノ当たったのかと思ったよ。
T――「当たった」って食中毒じゃねえんだよ! よくある言い伝えだよ!
O――しかし全くもって、不幸続きの一家だよな。
T――うーん、そうかもしれないね。去年なんてあいこが手作りのクッキーを持っていった時に、ちょうどあつこさんの担当のおばあちゃんが倒れてしまって、会うことすらもできなかったことがあったし。
O――何が世界一不幸な美少女≠セ! お前よりあいこのほうが圧倒的に不幸だよ!
T――そんなはっきり言うな!
O――『無印』でバッドカード騒ぎが起きた時、なんで誰もあいこのオーバーオールを疑わなかったんだろうね。
T――疑わねぇよ! しかもなんでオーバーオールが真っ先に出てくるんだよ!
O――大阪府は近々、妹尾家の府外退去命令を出すらしい。
T――なんでだよ! しかもそんな命令聞いたこともねえぞ!
O――だって、あいこの両親が復縁しようとしたら必ず災いが起こるんだぜ。危なっかしくて近くに住んでいらんないって、付近の住民から申請が殺到して。
T――単なる偶然だよ! なんでそんなことで村八分にされなきゃなんないんだよ!
O――そしてあいこが両親の復縁話を切り出した時、警視庁は厳戒態勢に入るという。
T――嘘をつけ! お前はあいこの家族を何だと思ってるんだよ!
O――「剣持警部! ホシがまた懲りもせずに両親を再婚させようと動きだしました!」
T――どこの誰だよ! ンな失礼なこと言ってる奴は!
O――「何だと! くそお、今度は誰を犠牲にする気だ、瑠璃額の魔女≠゚!」
T――ヘンな肩書つけんな! 殺人事件の怪人じゃねえんだぞ!
O――「待ってくれ、剣持のオッサン。この『妹尾家復縁連続殺人事件』の謎は、俺が必ず解き明かしてみせる! ジッチャンの名にかけて!」
T――だから殺人なんて起きてねえよ! 不謹慎だろうが!
O――「謎は、全て解けた! 犯人はあつこさんのお兄さん、あんただ!」
T――だからネタが古すぎるんだよ! 『金田一少年の事件簿』はもうとっくに連載終了してるよ!
O――随分前、どれみが「ロイヤルパトレーヌの名にかけて」って2回も言ってたから、その意趣返しだろうな。
T――無茶苦茶だよ!
O――是非金田一少年には、何故こうまで妹尾家に不幸が続くのか、という謎を解き明かしてほしいね。
T――無理に決まってんだろ!
O――まあその前に、何故こうまで自分の学校や旅先で不可解な殺人事件が起こりまくってるのか、という謎を解かなきゃならないんだろうけどな。
T――今頃になってツッコんでも遅えよ!
O――けど、ホントにそれくらいの不幸な偶然が続いてるんだぜ。
T――……確かにね。『無印』で初めてお母ちゃんが登場した時は、あつこさんが隣の部屋の赤ん坊をあやしてるのを見て、お母ちゃんは再婚してたんだ、ってあいこが勘違いしちゃってたし……
O――この間の悪さは、もうどれみにとってのステーキの比じゃないね。
T――そうだよね。
O――ここまで不幸が続いたら、もう何が起こっても、誰も驚かないだろうな。たとえあいこが最終回直前で、実は心臓病を患っててあと半年の命だったとか発覚しても。
T――安っぽいテレビドラマかよ!
O――あいこもあいこで、ちょっとやそっとの災いじゃ、びくともしないぜ。廊下に立たされても、怒られても、転んでも蹴られても殴られても、犬に噛まれても車にはねられても何とも思わない。
T――そんなわけがあるか!
O――俺にはそうなってもおかしくない気がするけどな。去年の秋にも、お父ちゃんにミシンを買ってもらおうとした途端、務めてるタクシー会社が倒産。いい加減、現実を受け入れるにも心のほうが限界じゃないか? 小学生の未発達な精神じゃ、マトモに耐え切れるとは思えねえんだよ。
T――少しはわかるよ。けど、それでも明るく、笑って生きられるところが、あいこの凄いところでもあるんじゃないかな。
O――……どう考えても、どっかのお嬢様には無理だよな。メガネのほうか高笑いのほうかは言わないけど。
T――いちいち比較しなくていいんだよ!
O――まあ、別にその2人に限った話じゃないけどな。どれみたちだって、どこまで保つかどうか疑問だよ。むしろそこら辺の大人のほうが、ここまで逆境に挫けず生きていけるかどうかわかったもんじゃないぜ。
T――だからこそ、あいこの毅然とした強さと、その健気さに心打たれるんだよね。
O――けど、強いったって所詮は子供だぜ。別に生まれた時から戦場にずっといたとか、前世が《
T――わかってるよ! だからいちいち例えを出すな!
O――結局のところ、周りがあいこを過大評価しすぎてる気がするんだよな。父親も母親も、心のどこかでは「あいこは強いから」と頼ってしまってるとすら思えるぜ?
T――そんなことないだろ。
O――通天閣のてっぺんで独り泣いてるあいこの姿見たら、そうとしか思えねえんだよ。お母ちゃんを気遣って帰ろうと言った時、切符売場の前で独り出ていった時、あいこがどんな思いでいたのか、この両親はわかってたのかって考えちゃうんだよ。もちろんわかっていたのかもしれないけど、どっちにしても放ったまんまってのは、ちょっと違うんじゃないか。
あそこでどれみたちが駆け付けてこなかったら、あいこは間違いなく禁断魔法を使ってたぜ。「パメルクラルクラリロリポップン! おんどりゃこのボケええ加減にせんかい人をどれだけおちょくれば気が済むねんしばくぞコラ」
T――どんな魔法だよ!
O――とにかく自分を不幸な境遇に置きたくて仕方がないどれみ製作者サイドに対して、とうとうキレちゃった。
T――ンなことあるか!
O――自分が何百年も眠ることになっても構わない……どう考えても本末転倒なのに、それを何とも思わなくなるほど彼女が追い込まれてしまったのは、本当に襲いかかる悲劇だけが原因なのか、って思うんだよ。
お父ちゃんもお母ちゃんも、もう少しあいこのために時間を割いてやってもいいんじゃないか? だから『♯』の時のクリスマスで、自分は本当に両親に望まれて生まれてきたのか、問いかけたわけなんだからさ。
T――……自分は本当に愛されていたのか、自分は望まれて生まれてきたのか……そう、ずっと疑問に思っていたんだよね……
O――あいこもあいこで、何もかもを抱えすぎなんだよな。少なくとも自分は、どれみたちに必要とされている存在であることは間違いないんだから、もう少し肩の力を抜いて、楽に生きればいいんだよ。
T――そうだよね。ちょっとでも、気楽に生きられれば、人生変わるかもね。
O――けどそれで気を抜きすぎて、いざ遊んで暮らそう、恋でもしてみようと思ったら、そのやりかたがさっぱりわからないことに気づいて困っちゃう気もするな。
T――子供の頃から受験勉強やりすぎた無気力な大学生じゃねえんだよ!
O――とにかくこのあいこの生き方を、現代人は大いに見習うべきだね。
T――うん。どんな苦境に立たされても、それを隠して笑って生きていく。そして、決して諦めず前に進んでいく。きっとこんな時代だからこそ、彼女のような前向きな生き様が求められるんだろうね。
O――そして頑張って、頑張って、やっと努力が実った! と思ったら、突然不測の不幸が訪れる。で、全部パア。
T――そうじゃねえだろ!
O――世の中そんなもんだよな。やっぱり世知辛い現代を象徴する少女だよ、あいこは。
T――そういう意味じゃねえんだよ! いい加減にしろ!
公開日:2009年04月04日