2002年4月28日。それは奇跡だった(←結構マジで言ってます)。


1.アバンタイトル

むつみ「さよなら私の青春!!」

涙をこぼしながら叫び、マスクを投げ捨てるむつみ。
…いや待て。一体どこなんだ。その崖。そしてマスクも…誰のなんだ。


2.オープニング

今年はいませんねむつみ…。長谷部がいないのに、何故か長谷部母が出てるのには笑ったけど。


3.Aパート

どれみ「プロレスラーのキャンディ伊藤が引退!?」

冒頭の「美空スポーツ」。会見の写真の隣には、しっかりとマッスル富田の姿が。
そして、クラッシャーマリーの「逃げるのか」というコメントが泣かせます。彼女は3年前、キャンディが引退を賭けた試合の相手でした。何やら深い友情を感じるのは筆者だけでしょうか。…やっぱり深読みしすぎかなぁ?

はづき「うううううううううう……」

で…はづきまで悲しんでます。やっぱり好きだったのね、女子プロ。

どれみ「むっちゃん落ち込んでるだろうな…」

どれみってむつみのこと、「むっちゃん」って呼んでたっけ?

ハナ「何で? どうしてそのむつみちゃんが落ち込むの?」

言いつつハナが整理している修学旅行の写真。…むつみが長谷部の左手をひねってます。満面の笑みで。いやいや微笑ましい。
右端に隠れた「ももこ×麗香様」も見逃せませんな。

事情を知らないらしいハナ(と、ももこ)に、3人はむつみの無敗伝説(一部誇張)を語る。

どれみ「力も!」

と、杉山にラリアット。

あいこ「技も!」

と、小竹にオクトパスホールド。

はづき「ただの男子相手だったら、むつみちゃんのほうが間違いなく強いんだから」

屍の群れの頂点に立ち、親指と小指を立てて上に突き出すむつみ…

そう。これは間違いなく。
「戦って!」
「戦って!」
「戦い抜いて!」

とゆー、『機動武道伝Gガンダム』の語り部・ストーカーの語る
《ガンダムファイト》の図に、そっくりなのです!!
Gガンファンなら、一撃で気づいたでしょうが(含筆者)。
また、ご存知でないかたは是非、ビデオ1巻をレンタルしてみて下さい。ひっくり返ります。
ちなみにその図の、破壊されたガンダムの群れの頂点に立って人差し指上げてるガンダムって…実は東方不敗マスターアジアの旧愛機、《クーロンガンダム》だったんですよね…。第12回ガンダムファイトで、己の拳だけでファイトを制した漢[おとこ]、マス ターアジア。しかしその背後に広がっている廃墟を見て、彼はガンダムファイトの空しさを知り…己の信じた道を貫くことを誓った。地球の自然の再生のためには、何者の犠牲も辞さない覚悟で…

東方先生「何がガンダムファイトよ、何が理想的な戦争よ…我が身を痛めぬ勝利が何をもたらす。所詮はただのゲームぞ…」(『Gガンダム』第46話より)

ってことは…頂点を極めたむつみが、引退を決意したのも無理ないことだな(←そうか?)。

ももこ「それとそのキャンディさんと、何の関係が…」
ハナ「あるの?」
どれみ「むっちゃんは、キャンディ伊藤に憧れてプロレス好きになったんだよ」
あいこ「心の支えをなくした今…」
はづき「落ち込んでるに違いないわ…」

その時です!!
MAHO堂のドアを勢いよく開け破って、遂に本日の主人公が姿を現しました!

どれみ、はづき、あいこ「むつみちゃん!!」

おおっと、その右手に握られたマイクはなんでしょうか!? 彼女は椅子の上に立ち(←行儀悪いぞ)右足を手すりにかけて、喉が割れんばかりに叫びます!!

むつみ「私、普通の女の子に戻ります!!」

それではっ!! ガンダムファイ(以下略)

・タイトルコール

ドモン(『Gガンダム』主人公)「さらば青春! キャンディ伊藤、暁に死す」(←死んどらん死んどらん)

無論、BGMは「運命のゴング」(『Gガンダム』サブタイトルの曲)で。
…すみません、どれみレビュでしたね。でもずっとこんな感じかも…

あいこ「こ、これや!」
はづき「『私、普通の女の子に戻ります!!』」
あいこ「キャンディ伊藤が引退の時に言うた台詞!」
ハナ「普通の女の子ってなに?」
あいこ「さぁ…」

少なくとも、主人公6人(or7人)+むつみの中にはいないと見た(笑)。

むつみ「とゆうわけで、よろしくお願いしまーす」

そして、アクセサリを販売する雑貨屋MAHO堂で、普通の女の子を研究しようとするむつみ。

むつみ「あはっ♪」

ブレスレット、イヤリングなどをつけて、軽く踊ってみるむつみ。
その時、人が抱く感想はおおむね二種類に分かれる。
1.「うぉらっしゃ!」(訳:似合うよ、むつみちゃん!)
2.「うぉらっしゃ!」(訳:正直…似合わねぇ…)
長谷部あたり…こっそり2.を選んでる気がする…
え、筆者ですか? いやぁ、そんなのもちろん「うぉらっしゃ!」に決まってますよ(←逃げた)。

だが、ここで3.を選んだ者がいまして。

どれみ「思ったより元気そうだね」
はづき「そうかしら…? 私には無理してるように見えるけど…」

真っ先に、むつみの様子に気づくはづき。うむうむ、さすがであります。

ハナ「似合う似合う! キャンディ伊藤より全然オッケーだよ!」

凍りつく一同(ハナ除く)。この、劇画的な絵と効果音(×3)は、話全体で多用されていく。
ちなみに「全然オッケー」っていうハナの台詞に、どれみの「全然オッケーっすよ!」が見て取れます。

ハナをブランコに座らせて、地雷の場所を教える4人。

はづき「この状況でキャンディ伊藤の話題はいけないわ!」
ももこ「そうだよ。むつみちゃんの前でキャンディ伊藤はダメだってば」
どれみ「キャンディ伊藤は引退したって言ったばっかりじゃん」
あいこ「ええか? キャンディ伊藤だけはあかんねんって」
ハナ「みんなだって『キャンディ伊藤』って言ってるじゃん!」

…筆者には…4人がわざとやってるとしか思えなかった…(笑)。

下唇をかんで、約4名のあくどい仕打ちに耐えるむつみ。
その後ろで、どれみは手すりに手をかけ二階に昇って逃亡を図っていた(笑)。

むつみ「いいの、本当のことだから…」

大きく息を吸って、大げさに振り返る。迷いを吹っ切る――否。忘れるために。

むつみ「それに! この歳でいつまでもプロレスごっこなんてやってたら、笑われちゃうでしょ?」

ここで画面は、むつみの足元を正面に持ってくる。

むつみ「だから、いい機会かなって…それで、新しい趣味っていうか、なんか他に好きなこと見つけようかなと思って…」

右のつま先を立てて回すむつみ。

あいこ「それが『普通の女の子』?」
むつみ「うん…」

両かかとを上げ、そろえる。…動きが細かすぎ…凄い…

そして、むつみはMAHO堂のお手伝いをすることになった。

どれみ「普通の女の子なら、おしゃれグッズの一つくらい作れないとね!」

カメラ目線、しかもウィンクまでして視聴者(の一部)に媚びながら言うどれみ。
直後、「ビーズアクセサリーメーカー」(CMでやってるあれ)のビーズを散らばらせてしまうむつみ。
瞳が既に潤みかけてます。真剣な表情でやってただけに、ショックもでかいようで。

はづき「ももちゃん、ビーズお替わり」
ももこ「Hey! …でもこのフタ固くて開かないよ…」
むつみ「ああ、ちょっと貸して」
あいこ「むつみちゃん、手ぇ痛なるからやめとき…」

むつみのこの手が光ってうなる! フタを開けろと輝き叫ぶっ!!

むつみ「ふっ!」

まさに必殺。あいこが全部の台詞を言い終わる前にヒートエンド。「ポン」というしらけた音が、物凄いギャップを生んでます。

どれみ、あいこ「ふ、普通の…」

毛糸を編んでいたむつみの後ろで、ももこが全身に糸を巻きつけて。

ももこ「からんだ…」

むつみって…確か実家が洋服ややってたんじゃなかったっけか。

はづき「女の子に…」

機織機の糸織るやつ(←名前がわかんない…[※1])がどれみのおでこにクリティカルヒット!!

※1 雷電31型甲さんより、その名前が「シャトル」であるという情報をいただきました。雷電さん、ありがとうございます! <2002/09/06>

あいこ「戻れんねやろか…」
どれみ「無理かも…」

お前がそれを言うか? どれみ…

むつみ「やっぱり慣れないことはするもんじゃないね…」
ももこ「そんなことないよ」
どれみ「誰だって最初は上手くいかないよ?」

そりゃそうだ。いつになっても何もかも上手くいかない、自称世界一不幸な美少女もいることだし(笑)。
で、むつみを見つめるハナの目。5人中唯一、横棒と化している。

むつみ「やってみてわかったわ…私には女の子っぽいことが似合わないって…」
はづき「むつみちゃん…」
むつみ「本当に今日はありがとう。……それじゃ!」

この場面、終始むつみの表情は見えなかった。
駆けていくむつみの後姿を見て、一同。

はづき「むつみちゃん、無理に明るく振舞ってたけど…」
あいこ「うん…なんか辛そうやった…」
ハナ「好きなこと無理してやめることないのに…」

やっぱり横棒のままのハナ。彼女には理解できないのだろう。「好きなこと」をやめるのにも、様々な事情があるってことを。

どれみ「キャンディ伊藤の引退だけが、プロレスやめる理由じゃないかもね…なんか今日のむっちゃん、やけっぱちな感じだった…」



次の日の教室。休み時間。
まずは人間関係をチェック。林野と中島が談笑。林野の後ろの席の岡島も参加? 山本けいこ、ななこ、島倉は一人で本を読んだりしてる。信子と丸山みほは、当然のごとく一緒。森川だいは、画面右端に向かって放してる。位置的には…万田じゅんじか?
そして、やはり独りだったむつみが立ち上がり…教室の後ろのドアから出て行く。
席順的に、当然画面に入ってくるのは後ろの3人。かよこは一人で本読んでる。矢田はいつものように、頭の後ろで手を組んで、椅子に寄りかかってる。
そして、皆さんお待ちかね(?)の長谷部は…矢田と全く同じポーズで壁に寄りかかってる。…へぇ、それが長谷部のいつもの癖だったんだ。登場2年目にして初めて明らかになりましたな。
むつみの様子に気づき、どれみ、ももこ、ハナが後を追った。

長谷部「…ん?」

それに…長谷部が気づいた。



屋上で話し合う、3人とむつみ。

どれみ「むっちゃん、ホントはまだプロレス好きなんでしょ?」
むつみ「もう…無理なのよ」

そして、回想シーン。しっかし何度見ても、むつみ幼少のみぎりVer.の髪型は、おんぷにしか見えん…というか、このシーンでは表情からしておんぷに見えたけど。

むつみ「私がプロレスを好きになったのは、キャンディ伊藤に憧れたのもあったんだけど…」

TVから流れてくる、キャンディ伊藤とマッスル富田の試合。後ろにはクラッシャーマリーの姿も。
そしてTVを消した、むつみの兄貴登場。みんなおっしゃってることだけど、何度見ても「春一番」さんである。元ネタのほうではない。決して。
しかしこの兄、ズボンからTVのリモコン取り出したってことは、やっぱりそこまで下準備して女子プロ好きの妹をからかってたってことか。全くバカ兄ですな。いやいや、身に包まされます…

むつみ「お兄ちゃんに勝ちたいっていうのもあったんだ…」

流され実況通りの試合展開を見せる、幼き頃の兄妹。しかし兄のSTO(ラリアットしてマットに叩きつける技?)をかけられたむつみの頭の下には座布団が。兄の常識と優しさを垣間見ました。
と…思いきや。タンスを階段状にして開け、昇って飛び降りて、ひざでむつみの顔を狙う。おいおい…自爆したらお前もただじゃ済まないぞ…
で、よけるむつみ…けど、ってぇことは、必然的に兄貴のひざには座布団のクッションが。
…この準備のよさは…やっぱり「プロレスごっこ」だったってことなんでしょうね。

で、突然だけど実況の台詞。

実況「キャンディ頑張れ! マッスル負けるな! 二人は、最高のライバルだ!!」

くっはーっ!! そーかライバルか!! いいッスねぇ!!(←落ち着け)
しかし…実況の叫んでたリングネーム。"根性の戦士"キャンディ伊藤はまだいいが、"不屈の筋肉"マッスル富田ってのはどうだろう。
やっぱり"不発の核弾頭"爆笑問題ってのが一番似合ってるな…ってプロレスじゃないし。
"奇跡の逆転ファイター"キン肉マンってのも…(←もういいよ!)
"麦わらのルフィ"(by 『ONE PIECE』)…は違うか。

ちなみにマッスルは、後に紹介する無印のむつみ初登場話(当時3年生)ではキャンディの良きタッグパートナーにもなってたとゆー。あー最高。

むつみ「でも…」

一気に回想の年代は上がり、ごく最近の出来事に。
スピーカーのアンプに「Candy」のシールが。基本ですな。
そのマイクを握り締め、兄の部屋の前で座り込むむつみ。本気で寂しそうである。
兄の部屋のドアが開いた。一瞬で目が輝きだすむつみ。本気で嬉しそうである。
学ランを着た兄。その顔には、眼鏡がかかっていた。…プロレスの見すぎ?

むつみ「おい、兄ぃ! 今度の相手はお前だ兄ぃ! かかってこーい! えぃっ! だぁーっ! だぁーーっ!!」

左足をアンプに乗せ叫び、マイクを投げ捨てる。マイクパフォーマンス。だが兄は。

兄「お前…少しは勉強したら」

…この抑えた口調が最高(笑)。しかも、眼鏡をくぃっと右中指で押さえられたとあってはもぉ。

マジョリカ「人間なんぞ、5年もあればいくらでも変わってしまうもんじゃ…」(無印17話より)

3年でじゅーぶん変わったよ、マジョリカ…

むつみ「最近はお兄ちゃん、受験勉強忙しいからって、私の相手ちっともしてくれないの…」

これは…むつみに容赦なく技かける兄貴に頭来てたむつみファンの方々にとっても…ショックだったのでは。だって曲がりなりにも、彼女の目標だったわけだし。筆者もショックですよ…回る回るよ時代は回る。喜び悲しみ繰り返し(by 「時代 / 中島みゆき」)。

むつみ「それに、クラスの男子も私と戦ってくれないし…」

じゃあ何であいこや奥山さんとかと戦わないんだ、って思ってる人はいっぱいいると見た。
あと、万田姉も彼女の挑戦者リストに入っていいのでは?

そしてハナの目はやっぱり横棒。

むつみ「プロレスの練習もできなくてつまんないなぁって思ってたら、キャンディ伊藤が引退したの。だから…私もプロレスやめようかなぁって…結局一人じゃ、プロレスできないから」

すると――興味なさそうだったハナが提案した。

ハナ「なぁーんだ、そんなことかー! だったらハナちゃんが相手になるよ。…ウヘッ…」

胸をぽんと叩いて、むせる。もうこの時点でへっぽこである。

どれみ、ももこ「やめたほうが…」

今度は2人の目が横棒に。しかしももこまでも…先日のフタ開けの一件で、むつみの恐ろしさを理解したようですな。

ハナ「いいの! さぁどこからでもかかってきなさい! やぁぁーっ
むつみ「ホ、ホントにいいの!?」
ハナ「いーのいーの、ハナちゃんこー見えても強いんだから。やぁぁーっ

開いた両手を前に突き出すハナ…どー見てもダチョウ倶楽部の「やぁー!!」である。古い。どこで覚えた、そんなもん。

むつみはハナの手を握り…

むつみ「それじゃあ…」

それでは!! 第1ラウンド、レディー・ゴー!!

むつみ「あはははは…」
ハナ「ギャアアアアアアアアアア…」

恍惚とした表情で、ハナに卍固め(…だよね?)をかけるむつみ。

どれみ、ももこ「だから言ったのに…」
ハナ「ギブギブギブ…」
<○工藤むつみ (卍固め) 巻機山花●> 工藤むつみ1勝0敗――

屋上。落ち葉舞う風の中、一人たそがれるむつみ。

ハナ「つ、強すぎる…」
ももこ「強くなりすぎるのも考え物だねぇ」
オーフェン「勝利とて空しいものだ……」(『魔術士オーフェンはぐれ旅』第7巻より)

いや…何となく…

むつみ「やっぱりもうプロレスは諦めるしか…」
ももこ「諦めるのはまだ早い!」
どれみ「そうだよ、あたしたちがダメでも、誰か強い人に頼めばいいんだよ!」

その後ろでは、突っ伏していたハナが真っ白に燃え尽きていた



小竹「あ? な…何で俺なんだよ!」

いきなり顔が赤くなってます、小竹。

どれみ「いやぁ小竹なら根性ありそうし…」
ハナ「打たれ強そうだし…」
むつみ「ちょっと前までよくやってたんだし…」
ももこ「プロレスは楽しいぞぉー!」
どれみ、ももこ、ハナ、むつみ「来たれ、若者よー!!」

息合いすぎじゃ君たち。

しかし小竹は折れない。どれみの頼みなら、聞きそうな気もしたが。

小竹「知ってるぞ。工藤、お前春休みに家族で修行の旅に出たんだろ? 北海道の山奥で、新必殺技《スーパーゴールデンむつみ特別スペシャルカッコ仮称カッコ閉じ》(※原台詞ママ。以上引用者注)を完成させて、人里に降りてきた熊を一発で倒したって言ってたぞ?」

…誰が言ってたんだ? という疑問は、すぐわかる。
ところで誰か、「変換完了マル」っていう台詞覚えてる人いませんか?(←何の話だ)

むつみから離れだすどれみ、ももこ、ハナ。そして小竹は、目を見開いて叫ぶ!

小竹「しかもその熊を――美味しくいただいたそうじゃねぇか!!

個人的には…「食った」でも「食べた」でもなく、「いただいた」とバカ丁寧な口調を使った辺りが笑えます。

一同「うそぉ!!!!」

その「一同」リスト。左上から島倉(、信子、丸山みほ)、小倉けんじ、萩原たくろう、平野いちろう、麗香様、ももこ、どれみ、かよこ、万田じゅんじ、大きく開けた口だけしか見えなくてわかんないけど林野?、ハナ(明らかに笑ってます。関心してます)、佐藤なつみ、山内信秋(拝んでます。しかもちゃっかりなつみの隣)、木根ひろこ。わかる範囲ではこんなもんでした。
そして忘れちゃいけない、信子とみほみほ…そろって口の横に手を当てて怪しく笑ってます。そう、元凶は間違いなく奴らです。

想像シーン。

  1. ツキノワグマが、背中に「無」と書かれた柔道着とやけに長い赤いハチマキに身を包んだむつみ(想像)に襲いかかる。
  2. 目を閉じたまま、拳一撃で熊を吹き飛ばすむつみ(想像)。さすがは東方先生である。なおそのアングルは、『スーパーロボット大戦』シリーズの《大雪山おろし》のカットインにそっくり。
  3. ×傷だらけの顔のむつみ(想像)が、某"麦わら"の好きな「骨ついた肉のやつ」(=串焼き)にかぶりついている…

手足をバタバタさせながら、申し開き(笑)をするむつみ。

むつみ「嘘よぉーっ! そんなの嘘に決まってるでしょーっ!? 私は、春休みに家族と北海道へ行って、熊牧場を見学した後、泊まった旅館で熊汁を美味しくいただいただけなのよーっ!」

…何で君まで「いただいた」を使うかな(笑)。
ちなみに彼女の弁明を聞いてた一同リスト。
上段は杉山、島倉、信子、丸山みほ、ももこ、森川だい、麗香様、中島正義、浜田いとこ。
下段は佐藤なつみ、小倉けんじ、ハナ、どれみ、かよこ、木根ひろこ。

旅行シーン。

  1. 熊牧場の建物の前。ピンクのパーカー姿のむつみ(実像)。赤のリュックを背負ってる。髪型が相変わらずそっくりなむつみ母。受験勉強に打ち込む前の兄、眼鏡なし。眼鏡の有無で性格が1号と2号に変わると見た(←ないない)。
  2. 熊牧場の中。熊のまん前。兄と仲良く2人で決めポーズ(人差し指と小指を立てる)。でもさっきと違うね…
  3. 旅館の中。むつみ(実像)満面の笑み。緑色の浴衣姿。熊鍋を美味しく「いただく」3人…ってあれ? そう、父親の姿がどこにも見えなかったのである。…なんで?

ちなみにこの1.2.3.の場面転換の効果音…両方とも同じだったりする辺りが好き。というか今回はしょっちゅう、この3段の演出がされてるんですよね。テンポがよくていい感じです。

どれみ、ももこ「熊食べてるじゃん…」

…全く。

小竹、教室の後ろのドアの向こうでたたずむ。

小竹「フッ…嘘にしろホントにしろ、そんな恐ろしい奴と、俺は戦いたくねぇよ」

バン。ドアを勢いよく閉める。

どれみ「逃げたね」
ももこ「うん逃げた

そして、いつものポーズで、我関せずと席に着いたままの矢田。目は横棒。

<○工藤むつみ (不戦勝) 小竹哲也●> 工藤むつみ2勝0敗――
ハナ「もぉ根性なし!」
どれみ、ももこ「あんたもね」
ハナ「ありゃまぁ…」

この辺りの2人、全体的にいいツッコミしてます。あいこも真っ青です。ま、あいこに習ったのかもしれないけど。

ももこ「だったら今度はもっと強い人! 君だぁ!」

よっ! 待ってたぜ筆者は!
さぁ皆さん、遂に美空小最強の男の登場です。それでは!! 今度こそ第2ラウンド、レディー…

まさる「興味ねぇ」

…って今日の矢田の出番、これで終わりかよっ!!

<○工藤むつみ (試合放棄) 矢田まさる●> 工藤むつみ3勝0敗――

さて、ここからは勝負を放棄したヘタレたちをリストアップしていこうと思います。

どれみ「下手な鉄砲数撃ちゃ当たる!」

走る4人は探す。対戦相手を。

<○工藤むつみ (不戦勝) 平野いちろう●> 工藤むつみ4勝0敗――
<○工藤むつみ (不戦勝) 萩原たくろう●> 工藤むつみ5勝0敗――
<○工藤むつみ (不戦勝) 万田じゅんじ●> 工藤むつみ6勝0敗――
<○工藤むつみ (不戦勝) 岡島小太郎●> 工藤むつみ7勝0敗――
<○工藤むつみ (不戦勝) 伊藤こうじ●> 工藤むつみ8勝0敗――
<○工藤むつみ (不戦勝) 森川だい●> 工藤むつみ9勝0敗――

ちなみに喋ったのは、

岡島「いや、僕はちょっと…」

だけ。キャンディ伊藤と同一声優(松本美和氏)だったからだと思われる。

どれみ「ゴーゴーゴーゴー!」
<○工藤むつみ (不戦勝) 菊池はじめ●> 工藤むつみ10勝0敗――
<○工藤むつみ (不戦勝) 杉山豊和●> 工藤むつみ11勝0敗――
<○工藤むつみ (不戦勝) 小倉けんじ●> 工藤むつみ12勝0敗――
<○工藤むつみ (不戦勝) 宮前空(←走って逃げてる)●> 工藤むつみ13勝0敗――
<○工藤むつみ (不戦勝) 中島正義(←手振りと口が笑える●> 工藤むつみ14勝0敗――
どれみ「ゴーゴーゴーゴー!」

きらりと光るアゴ。そう、彼の名は林野まさと!! かよこファンから睨まれ続ける男!!

どれみ、ももこ「う! ううう…」

と、逃げる2人。でもその場にむつみがいたわけじゃないので、無効試合。
…ちなみに林野、一っ言も喋らず。アゴだけで全てをアピールしました。それでいいのか?



ハナ「ムフフ」

美空小初代校長・堀内考乃進の像の前で、同じポーズをするハナ。右手ははるか太平洋を指してるそーな(参考文献:『おジャ魔女どれみマジカルガイド』ケイブンシャ刊)。
特に話に流れの中では、意味はない。

ももこ「どうしてみんなプロレスしてくれないのかな…」
どれみ「誰か強くてむっちゃんに協力してくれる人…」
どれみ、ももこ、むつみ「うーん…」

今回、むつみがどれみたちとシンクロしまくってるおかげで、何だか主人公に加わった気分になれます。いいことです。

どれみ、ももこ「そうだ!」
どれみ「いたいた! 強くてむっちゃんに協力してくれそうな人!! ひひひひひ…」
ももこ「ヘヒャハハハハ…」

謎の笑み。何だかんだ言って、期待してましたな。筆者も。

むつみ「うーん?」

後ろに座っている3人に、首を後ろに傾けて振り返るむつみ。細かいアングルからして、こだわられまくってますな。


3,5.アイキャッチ(Aパート終了)

むつみの髪型したハナ、ってのも見たい。


3,75.CMパート

初めてこの回を視聴した時…筆者はずっとこのCM中に不安に思っていた。
その「協力してくれそうな人」が、「奴」じゃなかったらどぉしよぉ…と。
"どれみ"にハマって以後、一番長く感じた90秒なのでした。


4.Bパート

ま、それは一撃で杞憂に終わったのだが。

長谷部「…あぁ?」

いきなり来るとは思わなかったけど。

どれみ「だからさ、むっちゃんの練習相手にさ」
ももこ「幼なじみのよしみで」

「よしみ【誼み・誼】1.(親しい)交わり。2.何かの縁でつながりが有り、仲間意識が働いて、すげなくは扱えない関係」
もう日本に慣れきりましたな。ももこは。

むつみ「お願いします!」

が…長谷部もうなずきはしなかった。

長谷部「バカ言うな。そんなマネできるわけねぇだろ」
ハナ「なぁんでー!?」

そして彼は…これから想像以上の活躍を見せる。

長谷部「男だからだよ」

と――今回のメインテーマ(の一つ)を言い切ってしまったからだ。



音楽室で悩む3人。と。

おんぷ「どうしたの?」

世紀のチャイドル瀬川おんぷ、Bパートにして今回初登場。これは迫害と見るべきか、それとも真打登場と見るべきか。

皆で、むつみの悩みを解決する方法を求めて苦心し出す。

どれみ「もっと強い男子…」
あいこ「2組の男子やったら、木村くんか?」

木村たかお。元・小竹の相棒。まりなファンに睨まれ続けた彼も、今や名前だけが出てくるだけの存在…誰か奴に愛の手を!! って思ってたら、まりなと順調にやっているとの情報が、のちの回で小竹から。

はづき「それより奥山さんがいいんじゃない?」

この時。世界に散らばる奥山さん主義者(通称"なおみスト")は、TVの前にこれ以上ないくらいかぶりついたという。が。

ハナ「怪我するから女の子はダメだよ」

というハナの台詞によって、その希望は打ち砕かれたのだった…
ハナ…お前結構…色んな人敵に回してるぞ…。気づいちゃいないだろうが。

そして真打たるおんぷの暴走…、もとい活躍が始まる。

おんぷ「ねぇ…どうして男子はむつみちゃんとプロレスしてくれないのかしら」
どれみ「そんなのむっちゃんが強すぎるからじゃん…」

それも半分の理由ではあると思う。むしろその理由が大義名分となって、本音の部分を隠せるわけだから。
逆に言えば…その本音をきちんと述べてやった長谷部に、拍手喝采。

おんぷ「…私は違うと思うんだけど」

…悲劇の幕(嘘)が、女子トイレで開いた。

おんぷ「むつみちゃん、悩んでるんだって?」
むつみ「え、ええ…」

鏡を背負って立つおんぷ。むつみの姿が、鏡に写っている。だが、おんぷの表情は見えない。

おんぷ「何で男子がプロレスしてくれないか、教えてあげようか」
むつみ「おんぷちゃん知ってるの?」

その通り。しかし彼女は知らない。これから自分の身に降りかかる出来事を…

おんぷ「簡単よ」

言って、近づく。彼女は笑っていた。確かに笑っていた。

むつみ「あ…」

むつみの瞳を見つめながら…笑っていた。笑っていた。
笑ったまま…
ポン、と。
右手でそっと。
それが、大したことでもないと言わんばかりに。
触れた
…………むつみの。
左胸に。

……………………。

世界は止まった。

……………………。

むつみ「ぅぇぇぇ……」

もはや、言葉になってません。ブッ壊れたようです。

おんぷ「どぉ? わかったでしょ。男子がプロレスしてくれないのは、むつみちゃんが女の子だからよ」

両手で胸を押さえているむつみに、おんぷは言った。いつもと変わらぬ口調で。

以下私見。

シュバルツ・ブルーダー「武闘家とは所詮、拳と拳でしかわかり合えない不器用な生き物…それしか方法はあるまい」 (『Gガンダム』第35話より)

いや。…まぁ、落ち着いてくださいってば(笑)。
要するに、おんぷは言葉ではなく、体で彼女に理解させようとしたのだ。
彼女が、「女の子」であることを。
プロレスにしろなんにしろ、体を使って覚えるのが道理。おんぷは、ただ彼女の流儀に合わせただけなのだ。
これ以上ない効果を及ぼした辺りが、その証拠。
だから…おんぷが平然とその行動に及んだのも当然のことだ。
…フツーは驚くけどな…誰だって…
さすがは"天才"である。

完全にうなだれて…とぼとぼと歩いていくむつみ。
廊下には…長谷部が立っていた。何故か。
自分の存在に気づかなかったと思われる彼女の後ろ姿を、長谷部は見つめている。



校庭の鉄棒で話し合う一同。

どれみ「さすがおんぷちゃん…大人だねぇ…」

空に浮かぶおんぷの笑顔。

はづき「でもこれって、何の解決にもなってないような…」

空に浮かぶおんぷの困った顔。
にしても…いいぞはづき。その通りだ(笑)。

そしておんぷの活躍は終わる…。でもまぁ、大仕事をあげたわけだし、逆にメリハリがついていいと思います。

ハナ「うーん…わかった! こういう時は、やっぱり魔法!」

最近、筆者は彼女を見てて思うことがある。
「ああ。そぉいえば、"どれみ"って魔法ものだったっけ」
だって…無理に使う必要ない話に限って…面白かったりするから…
そして無理やりにでも、1話に1回は魔法を使いたがるハナの、スポンサー思いの行動に涙(大嘘)。

ハナお着替え。最近彼女ばっかりだね。
ハナ魔法。最近彼女ばっか(以下略)。
そして何度でも筆者は言うぞ。ああ、何度だって言うさ。
ハナの二束の髪の毛は、《ゴットガンダム》(by 『Gガンダム』)の後ろウイングにそっくりだって。誰にも賛同してもらえなくったって言い続けるぞ。

ハナ「とぉ〜っても強い覆面レスラーにぃ〜、なれ〜!!」

「サーロインマスクとその仲間たち」、誕生の瞬間である。
なお何故か、あいこ(サーロインマスク・ホルモン)だけ竹刀を装備していた。

心配するはづき(サーロインマスク・ロース)、どれみ(サーロインマスク・ステーキ)にハナが言う。

ハナ「だいじょぶだよ! だってハナちゃんとぉぉっても強い覆面レスラー、って言って魔法かけたもん」
ハナ「魔法の力で強くなれば、むつみちゃんだってへっちゃらだよ!!」

逆に言えば、魔法に頼らなければとてもむつみにはかなわない、とゆーことになる。

ももこ(サーロインマスク・カルビ)「気のせいか何だか力がわいてきた!」

これこれ、いちいち筋肉見せなくていいから。いきなり細腕からわき出してくるなんて、ルフィかお前は。

余談。サーロインマスク・ステーキの前髪(だんごでなくて)露出型マスクを見て、某2世を思い出した筆者はどれみファン失格でしょうか。

そして。今までにない恐ろしい演出がなされた。

「キャ・キャ・キャ・キャ・キャンディ キャンディ伊藤! La・La・La・La・らぶりぃ キャンディ伊藤!」

『深爪ファイター 〜キャンディ伊藤のテーマ / キャンディ伊藤(松本美和)』である。わざわざ作ったらしい(笑)。
高評だったらしく、2002年6月21日発売の『おジャ魔女ドッカ〜ン! CDくらぶその2 おジャ魔女ドッカ〜ン! ソングライブラリィ!』に収録されてます。

むつみ「え? こ、この曲は!!」

どこからともなく流れ出したその曲につられ、曲が聞こえてくる階段を駆け上るむつみ。

止まらない曲をバックに、そこには4人の覆面レスラーが、彼女を待っていた。…で、どこなんだここは?
さらにリングアナの衣装に身を包んだハナが、みょーにこなれたアナウンスを見せる。

ハナ「たぁだ今より、時間無制限、4本勝負、変則4人抜きデスマッチをぉ行います。あぁかコーナー!! 世界ヘビー級チャンピオン、サーロインマスクとそのなーかーまたちー!!」

慣れすぎだ…(爆笑)。どこで覚えてきたんだか。

サーロインマスクとその仲間たち「やぁぁーっ!」
ハナ「あぁおコーナー!! 挑戦者ぁ、プリティーむつーみぃー!!」

プリティむつみ。そのリングネームに涙したかたも多いでしょう。
そう…誰もが指摘するように、「プリティまりな」っていうリングネームが、今は廃盤となった(泣)『おジャ魔女CDくらぶその3 おジャ魔女ハッピッピドラマシアター!!』(バンダイミュージックエンターテイメント)のミニドラマに登場したから…
小泉まりな…裏番組で『GALS!』ってた少女(声優ネタ)。でも木村とは今も(以下略)。

むつみ「…えぇ?」

ここでやっと画面が引き、公園にリングを作り、観客等の背景はハリボテの上に書いたものだとわかる。全部(魔法で)作ったのか。

ハナ「通りがかりの覆面レスラーの皆さんに事情を話したら是非戦いたいって言ってくれたの」

いたなぁ2年前も。通りがかりの相撲取りが…

サーロインマスク・ステーキ「こーっちは準備オッケーだぁ! いつでもかかってこいー!!」
サーロインマスク・ロース、同ホルモン、同カルビ「やぁーっ!!」
むつみ「わぁぁぁ…」

少女がその瞳に輝きを宿し

それでは!! 第3ラウンド、レディー・ゴー!!

さぁゴングが鳴りました! 駆け出すサーロインマスクと(以下略)!!
サーロインマスク・ステーキ、目を光らせて突撃をかけます!!
サーロインマスク・ロース、両手を口元に当ててまごまごしながら突撃!! やる気あるんでしょうか!? …つか眼鏡は外せ。危ないから。
サーロインマスク・ホルモン、竹刀を構えて突撃です!! …いきなり反則かよ。
サーロインマスク・カルビ、両手をぶんぶん回しながら突撃!! もうヤケクソです!!

対するむつみはロープを握り腰を落とし、目を閉じて精神統一していますが――おっと、突然目を見開いた!!
そして目に"ひらめき"の光が!! あれはかの《ニュータイプ》の証なのかー!?

サーロインマスク・カルビ「うえああああああああ」
むつみ「むつみ・四の字固めー!!」

何だ…《テキサス・クローバー・ホールド》(by テリーマン)じゃないんだ…

サーロインマスク・ロース「きゃああああああああ」
むつみ「むつみ・キャメルクラーッチ!!」

おおっ!! ラーメンマン先生!!

サーロインマスク・ステーキ「ひえええええええええ」
むつみ「むつみ・バックブリーカー!!」

おわっ!! ロビンマスク先生(の、《タワーブリッジ》)!!

とくれば、最後はもちろん…!!

むつみ「スーパーゴールデンむつみ・特別スペシャール!!」
サーロインマスク・ホルモン「にょおおおおおおおお」

何だ…《キン肉バスター》じゃないのか…同じ東映さんだから期待してたのに(嘘)。
このように、『キン肉マン』(初代)を意識してるとしか思えない技のラインナップを繰り出したむつみなのでした。

しかし「SGMTS」(←勝手に略した)…レイアウトが先の想像シーンの"熊殺し"むつみと同じ。嘘から出た真なのか、それとも信子&みほみほは単に史実を再現しただけなのか。
そして放つ瞬間に龍を背負うなら、やはし…

サイ・サイシー「天に竹林、地に少林寺!! 目にもの見せよう最終秘伝! ――真・流星胡蝶剣!!」(『Gガンダム』第37話より)

…とやって欲しかった(←無理だよ)。

そして再びゴングが鳴ったー! 試合時間にして…何と20秒! ジャスト20秒です!
かの"秒の殺し屋"ラーメンマンですら、公式での記録は37秒…
今ここに、新たなる"秒の殺し屋"が誕生しました! 強いぞ工藤むつみ! 頑張れ工藤むつみ!
それでは皆さん、次のファイトでお会いしましょう。

ハナ「つ、強すぎる…」
サーロインマスク・カルビ「強くなったな我が息子よ…ガク」
サーロインマスク・ホルモン「それを言うなら、娘や…ガク」
サーロインマスク・ロース「ハ、ハナちゃんの嘘つき…ガク」

眼鏡が割れた。やっぱり弱点なのか。いや、ミート(『キン肉マン』&『2世』)もそうなんです。

サーロインマスク・ステーキ「い、痛い…ガク」

…周りに目ぼしい台詞を奪われ、ネタが尽きたと見た。

<○工藤むつみ (むつみバックブリーカー) サーロインマスク・ステーキ●> 工藤むつみ15勝0敗――
<○工藤むつみ (むつみキャメルクラッチ) サーロインマスク・ロース●> 工藤むつみ16勝0敗――
<○工藤むつみ (スーパーゴールデンむつみ特別スペシャル) サーロインマスク・ホルモン●> 工藤むつみ17勝0敗――
<○工藤むつみ (むつみ四の字固め) サーロインマスク・カルビ●> 工藤むつみ18勝0敗――

ところでここで生まれる疑問。あいこ(=サーロインマスク・ホルモン)が、あんなにあっさりと、一撃でやられていいのか、というもの。
だがこれについては既に明確な通説が示された。「ハナの中での『とぉぉっても強い』基準が、あいこの本来の実力を下回っていた」という説が、国際警察機構北京支部所属・智多星呉学人氏よりなされており、論争に終止符を打っている(…気がする。でも一番理にかなってたと思いますよ)。

滑り台の上に立つむつみ。心配そうに呼びかけるハナ。ただしリングアナの格好のままで。

ハナ「あ…あの…」
むつみ「もういいよ…色々ありがとう。迷惑かけてごめんね」
ハナ「むつみちゃん…」
むつみ「やっぱり無理だったのよ…だから私決めた。キャンディ伊藤と一緒に、私も引退するわ…」

滑り台から滑り降り…スカートについたホコリを叩いて。

むつみ「さよなら。どれみちゃんたちにも、よろしく言っといて…!」

表情は見えない。しかし…その口調は、明らかに泣いていた。

…さて。彼女はサーロイン(以下略)の正体に気づいていたんだろうか。何せ明らかに「声」の違う人間(魔法で入れ替わっても、声までは変えられない。だから演じきるしかない)が、家族にすらバレない世界観だからなぁ…
しかし、そこは拳と拳で語り合うことのできるむつみ。戦いのさなか、正体に気づいたのでしょう。多分。



帰り道。夕日に照らされる踏切。そう、踏切である。長谷部といえば踏切である。詳しくは『も〜っと! おジャ魔女どれみ』第15話「きれいなお母さんはスキ? キライ?」を参照のこと。
サイレンがやみ、電車が通り過ぎると…そこには、長谷部が立っていた。柱にもたれて。

むつみ「あ…」

彼は目を閉じたままだったが…しばらくして、横目をむつみに向ける。
カッコ良すぎるぞオイ…
やはりしばらくしてから…むつみが踏切を渡りだす。この"間"が…もー最高です。

ハナが屍(×4)を運ぶ。荷台で。どっから持ってきたのか知らないが。
ちなみにまだリングアナの格好である。着替えろよ。

サーロインマスク・ロース「あ…ハナちゃん止めて!」

と。サーロインマスク・ロースが線路の向こうの道路で、歩いている長谷部とむつみの姿に気づく。

サーロインマスク・ホルモン「二人して、何してんねやろ…」

……君らも着替えろ。いーから。

むつみ「どうしたの? 長谷部くん…」

彼は、大の字になって道路に寝ていた。
再び絶妙な"間"のあと…

長谷部「…………ほら」
むつみ「え?」
長谷部「やれよ。かけていいぞ」
むつみ「何を?」
長谷部「プロレスだよ。相手いねぇんだろ?」

何も地面に寝なくたって…と言うなかれ。つまりは「服が汚れようがお構いなし」という意思表示なのだから。むつみのために、そこまでしてやれる長谷部に乾杯。
でもよく見ると…首のところにランドセル敷いてんだよね(笑)。

むつみ「……ありがとう。でも、もういいの。じゃあね」

今度は、口元しか見えないむつみ。笑った…ように見えた。口だけ。
そして右手首を押さえる左手の真意は…思わず動いてしまっていた右手を止めるためだったのかどうかは、わからない。

長谷部「あ……」

去っていくむつみ。再び鳴る踏切のサイレン。長谷部はまだ寝ている…

5人「あああ……」

やってもうた…な表情をする5人。
しかし…この場にいないおんぷなら、違う結論を出したかもしれない。



夕日に照らされた、むつみの部屋。
ラジカセを再生すると、やはり「深爪ファイター 〜キャンディ伊藤のテーマ」が流れてくる。
「闘魂女神CandyITO!」と書かれたロングポスターの前に、立ち尽くすむつみ。
そこかしこに、所狭しと並べられた、キャンディ伊藤のグッズ…
ところでむつみ。本棚の上に飾ってある白とピンクのマスクは何なんだ? アバンタイトルのマスクにしろ…誰のなんだろう。あるいはキャンディやマッスルは「覆面レスラー」としてのもう一つの顔を持ってたのだろうか。そんな話は聞かないが。

むつみ「もう、決めたんだから」
ポスターを外す…そこには白い跡が、くっきりと残っていた。長い間そこに何かがあったという、何よりの証明として。
窓際にあったキャンディの等身大(※推定)看板も。
謎のマスク(×2)も。そして本棚の中身が、ここで見える。プロレス、女子プロ…そういう類の本だと、すぐにわかる。
「Candy VS Mastle」と書かれたポスターも、「闘魂女神」と書かれたペナント(いつの時代だよ…)、「ムツミちゃんへ!!」としっかり書かれた「CandyITO」のサインも、「マッスルトミタ!!」とだけカタカナで書かれたエラく直撃な(←結構好き)サインも…。
再び本棚へ。「闘魂女神大全集」(これだけ表紙を前に向けていた)、「キャンディ伊藤の全て」、「The プロレス!!」、「プロレスの技」、「プロレス名鑑」。写真立てに飾られた、キャンディがむつみをお姫様抱っこ(笑)してる写真、ブリスターケースに入ったままのフィギュア。
そして最後に…3年前当てた、アイスのプレゼント。キャンディのフィギュア(元・バットカード憑き)。

流れ続けていた曲からは、ようやくAメロが流れ始めた。

「リングの上ではプロレスラー リングの下では花粉症

いや、関係ねぇし。

「私はキャンディ ハーフじゃないけど 私は伊藤 苗字は地味ね」

…やけに自虐的ですな…(笑)。いや、こーいうの大好きですが。

「夢に向かって私は進むの 髪切りマッチもなんのその」

髪切り…ヘンな団体に抗議受けてなきゃいいけど。

深爪したって すぐに伸びるわ 突き指したって がまんがまん」

弱点なのか。指。

さて。この名曲をバックに、目を潤ませながら、最後の一つとなったフィギュアを見つめるむつみ。それには訳があった。

と――むつみが初登場した『おジャ魔女どれみ』第44話「女子プロレスラーになりたい!」の映像が流れ始める。

ふとしたきっかけで、キャンディに直接出逢ったこと。「勝負っていうのは、相手にただ勝つことじゃない。自分に勝つことが、本当の勝負」という言葉。マットでのキャンディの活躍…
それらはもう…帰ってこない。
何もかも、変わってしまった。自分も、兄も、周りも。全てが。

ドモン「過ぎ去った幸せは二度と戻らない。それは誰しも同じことだ…」(『Gガンダム』第8話より)

オーフェン「もう、変わったんだって……ことだ。昔とは、もう全部が変わった」(『はぐれ旅』第10巻より)

いつの間にか机の前で座っていたむつみ。キャンディのフィギュアを、右手人差し指でぽん、と倒す。
涙を浮かべて、机にうずくまる…

むつみ「っ…うっ…」

その手が、ラジカセの停止ボタンに伸び…静寂が辺りを包む。その直後。

コンコン、とノックの音が響く。
むつみが振り返ると、既に部屋の中に入り、背にしたドアを叩いた長谷部の姿が。
おそらく…彼は見ていたのだろう。机でうずくまる、彼女の姿を。自分の存在を知らせるタイミングを計りながら。

長谷部…今日のお前…カッコ良すぎ…

むつみ「長谷部くん…」

彼は部屋に進み、むつみがダンボールの中にまとめていたプロレスのグッズの前に座り込み、一言。

長谷部「…諦めんのか?」

…長谷部の顔を正視できない。むつみは震える表情で、机の上に目線を戻す。

むつみ「子どもだったのよ…いつまでもヘンな夢見ててもしょうがないじゃない。勉強とか、おしゃれとか、やらないといけないことはたくさんあるんだし…」

しかし…その右手は、しっかりとキャンディのフィギュアをつかんでいた。

長谷部「それでいいのかよ」
むつみ「だってしょうがないじゃない! キャンディ伊藤は引退しちゃうし、自分でやろうにも、私には戦う相手がいないのよ!」

長谷部に振り返り…感情を爆発させる。涙を振りまいて…また、うつむく。
椅子を回して、机の前に向いた…彼を避けるように。

むつみ「キャンディ伊藤と共に、私の青春は終わったの…」

と。長谷部の手が、ダンボールに伸びていく。

長谷部「よくわかんねぇけどよ…、楽しかったんだろ。お前」

その手には、一冊のノートがあった。
図つきで書かれた「オクトパスホールドのかけ方!!」(「ここねじってる?」、「よくわかんないけど痛そう!!! 試す!」という書き込み)、「スピニングホールドのかけ方!」(「ポイント!」(赤字)、「このあと くるくる まわる!」という書き込み)のページ。

むつみ「え…?」

かすかに笑って、長谷部がそれを見せた。

再び幼き頃の回想。

実況「出ーたー! テリー直伝の、スピニング・トゥ・ホールド!!」

えっ!? テリーマン先生っ!?(←黙れ)
…知ってますよ。テリーマンのモデルでしょ、モデル。テリー・ファンク。
『笑う犬』が現役なら、「テリーとドリー」ってネタもあったな…

むつみ「そっか。スピニング・トゥ・ホールドをかける時のコツは…」

言って、ノートに何やら書き出す彼女に、長谷部は頬杖をついてつぶやく。

長谷部「お前、ホントにプロレス好きなんだなぁ…」

他人事のように言ってるが、無論、そんなことはなかった。

むつみ「ねぇ。お願いがあるの…」

瞳をらんらんと輝かせて、むつみが言ってくる。

長谷部「え……?」

長谷部の表情が、一気に青くなった。
そして彼は…その後しばらく、彼女の実験台になっていたのは明白。これも運命って奴だ。諦めなさい(笑)。

長谷部「あの頃のお前、楽しそうだった。俺は痛かったけどな」

本当に楽しそうで痛そうな、スピニング・トゥ・ホールドの図で、回想は終わる。

むつみ「楽しかった…?」

立ち上がり、そのノートを差し出す。

長谷部「ま、決めるのはお前だけどな…」

机の上には、結局最後まで片付けられなかった、キャンディのフィギュアがそのまま転がっている…
ポケットに手を突っ込んで…長谷部は去っていった。かすかに笑いながら。
その「むつみの技ノート」を見つめ…少女は、何を思ったか。

むつみの部屋の近くの電柱。
そこに、出歯亀5人がへばりついていて、一部始終を食い入るように見ていた。
わかったから着替えなさいって…

そして筆者は思う。「トトロのラストシーンかよ!!」



朝。再び踏切。サイレンが鳴り止むと。

むつみ「長谷部くーーん! はぁ、はぁ…」
長谷部「…何走ってんだ?」
むつみ「これ見て!」

渡されたチラシを見る長谷部。

長谷部「『来たれ若者よ ジュニアレスリング教室生徒募集中』…」

「来たれ、若者よー!!」…って、まさか伏線だったとわ…

むつみ「私、ジムに通うことにしたわ」
長谷部「ふぅん…」

興味なさげである。ま、口調だけなんだろうが。

むつみ「わかったの。私が好きなのは、キャンディ伊藤じゃなくて、プロレスだって。私、絶対プロレスラーになる!」
長谷部「…そうか。まぁ頑張れよ」

全てを吹っ切ったむつみの笑顔に…長谷部の顔も、どことなく優しげになっていた。

むつみ「ええ…」

チラシを返し、先に踏切を渡りだした長谷部が、顔だけこちらに向けて言ってくる。

長谷部「そこでも相手がいなくなったら、また俺が相手してやっからさぁ」

…もー何も言うことなし。今回の一番の立役者は、おジャ魔女じゃなくて彼だ。最高だぜ!! 長谷部っ!!

そして…赤くなるむつみ。女の子だなんだっていう話でもあった今回、初めて見せた表情だった。

ついでに、彼女の後ろの電柱に…明らかに物理法則を無視した状態で隠れ、顔だけ出して見つめる、6人の出歯亀(フルメンバー。いや、ぽっぷはあんまりこーいう趣味なさそうだし…)。そして右下のハナの髪の毛。明らかに地面についてる。後でホコリ落とせよ。

むつみは口元をチラシで隠し…笑って…
本日最強の台詞を言い放った。

むつみ「…えっち♪」

《魂》の一撃が、長谷部のコックピットに直撃!!

長谷部「バッバカッ、俺はそういうつもりで言ったんじゃ…」
むつみ「長谷部くん…」
長谷部「…あ?」

チラシで顔全部を隠していたむつみが…ゆっくりと、まだ少し赤くなっていた顔を出して。

むつみ「ありがとう…」

出歯亀6人も、笑った。
再び鳴り出すサイレン。

むつみ「先行くね!」

朝日に照らされながら駆け出すむつみに、長谷部はやはり優しげな笑みを浮かべて…
ゆっくりと、歩き出した。彼女のあとを。


5.エンディング

…この次の週だった。
新EDテーマ『おジャ魔女音頭でハッピッピ!! / MAHO堂』において。
上段でハッピ姿で太鼓叩いてる関先生、中段の左からあいこ、ももこ、どれみ、ぽっぷ(おおっセンターだ!!)、ハナ、おんぷ、はづき(リストラコンビは両端かい…)に続き、下段で山内信秋、島倉(一人正面を向かずに、上段の関先生辺りの写真を撮っている)に続いて…

長谷部(浴衣は茶色?)!! むつみ(浴衣はピンク?)!!

…という奇跡を目撃することになるのは!!
ええと、残りは小竹、麗香様(センター)、まさる、信子、新SOS太田、佐川、佐藤じゅんです。
…中段と麗香様と新SOS以外は、みんなそろって冒頭のほんの一瞬しか出てないけどね。


6.総評

要するに。
確かに彼女は"引退"した。
ただし、それはあくまで"キャンディ伊藤"に憧れるだけだった自分であり。
"プロレスごっこ"に興じた自分であった。

しかし…長谷部の言動によって、彼女は取り戻した。
自分が何故、キャンディに憧れたのかを。
何故、"プロレスごっこ"で遊んでいたのかを。

むつみ「私、絶対プロレスラーになる!」

その言葉の奥にある、彼女の瞳には…女の子だとか、そんな理由も何もない世界が、映っていた。

Dr.ヒルルク「お前はいつか海へ出ろよ!! お前の悩みなど、いかに小せェことかよくわかる!!」(『ONE PIECE』第142話より)

狭い島での"遊び"から抜け出し、どこまでも広がる"プロ"の海へと…彼女は船出したのだった。

ウソップ「ウソじゃねェ、本物の"勇敢なる海の戦士"になるために!!! もう、のんびりと楽しいだけの…"海賊ごっこ"は!!! 終わったんだ!!!!」(『ONE PIECE』第87話より)

…お粗末様でした。



・スタッフリスト(抜粋)

脚本
大和屋 暁
 
原画
星川 信芳
青山 充
馬越 嘉彦
松田 千織
篁 馨
冨田 与四一
永澤 謙一
 
美術
行 信三
田中 里緑
塩崎 広光
 
作画監督
なかじまちゅうじ
 
演出
長峯 達也
 
キャスト
春風どれみ  千葉 千恵巳
藤原はづき  秋谷 智子
妹尾あいこ  松岡 由貴
瀬川おんぷ  宍戸 留美
飛鳥ももこ  宮原 永海(矢田まさると兼役)
 
ハナちゃん  大谷 育江
 
長谷部たけし  山口 眞弓
小竹哲也  横手 久美子
 
工藤むつみ  茉雪 千鶴
むつみの兄  サエキトモ
TVアナウンサー  永野 善一
解説者  上別府 仁資
キャンディ伊藤  松本 美和(岡島小太郎と兼役)
 
以上敬称略

公開日:2002年06月23日
第一次修正:2002年07月14日
第二次修正:2002年09月06日
第三次修正:2002年09月16日
第四次修正:2003年10月日