矢田まさる Yada Masaru

 今日のテーマは、矢田まさるです。

 主人公春風どれみの幼なじみはづきの、そのまた幼なじみの少年。それが彼です。

T>何だかややこしいな。

 考えてみれば、現クラスメートの一部は「ソナチネ幼稚園」出身なのですから、別に幼なじみなのは彼とはづきに限った話ではないのです。

 言ってしまえば、どれみと小竹だって幼なじみなのです。

T>まぁな。

 ななこやかおりやまりなやむつみも同じ幼稚園ですから、幼なじみなのです。

 …まさるくんも、全くもってやりたい放題です。

T>全部が全部そういうわけじゃねぇんだよ!

 あまつさえ、同じく旧SOSの3人にも…

T>だからそんな話は聞かねぇよ!

 手を出されていた

T>出されてたのかよ!

 そんな状況にあっても、あえてまさるとはづきだけを「幼なじみ」と呼ぶには、やはりそれ相応の理由があるのでしょう。

 …単純に幼稚園の前からの付き合いだったという話かもしれませんが。

T>話終わっちゃうだろ!

 とにかく、人は2人を「幼なじみ」と呼びます。その奥に、明らかに特別な意味を込めて。

 そんな周囲の認識が図らずも露呈したのが、『♯』6話「意地っぱりとデイジーの花ことば」です。この話では、矢田はづに並ぶバカップルとして名高い木村たかおと小泉まりなが、ド修羅場に陥る話なのですが…

T>そんな大げさなモンじゃねぇよ!

 旧SOSトリオの仕掛けた周到な罠によって、互いを憎みあう悲劇のカップルになってしまう。そんな展開です。

T>木村が「ブス」って言っただけだろ!

 愛憎渦巻く中、木村はまさるに、まりなははづきに、それぞれの暗殺計画を持ちかける。

T>ンな物騒な相談なんてしてないよ!

 これはまさに、木村とまりなの2人が、まさるとはづきをそういう仲だと認識しているからに違いありません。

 他に「矢田×はづき」話として外せないのは…

T>いつからそんな話になったんだよ!

『おジャ魔女どれみ♯』MAHO堂CDコレクションソロの、「藤原はづき」。これに収録されたCDドラマが、また鼻で笑わせてくれます。ケッ。

T>「ケッ」じゃねぇよ! お前が紹介し出したんだろうが。

 偶然出会ったはづきとまさる。それをあいこやおんぷに冷やかされたのに対し、「『ラブラブでうらやましい』なんて言われてない」と、最初から言われてもないことを誇張して口走りだしたのです。無意識下の深層心理が出てしまったのでしょう。全くもってやってられません。てへっ

T>なんでそこでおんぷなんだよ! 気持ち悪いぞ!

 しかしこのバカップルにも、史上最強・最後の障害が立ちはだかることになります。そのラスボスの名は…長谷部たけし

T>しおりじゃなかったのかよ!!

 多分、まさるのほうが「受」でしょう。

T>どっちでもいいよ!

 ちなみにFLATなんとかのフジなんとかは、最初から眼中にありません。

T>FLAT4のフジオだろ! 最後の一文字しか伏せてねぇじゃねぇかよ。

 そしてラスボスと言えば、変身するのがこの世の常。長谷部が7段変形・合体して、中山しおりが現れます。

T>7段ってお前、適当に言ってるだけだろ。

 彼女はその病弱という設定を巧みに生かし、魔性のような知恵をもってまさるに迫ります。

T>ホントに病気なんだよ! 失礼だぞ。

 彼女はまさるの必殺技である「トランペット」の持ち曲まで獲得できましたが、寸でのところで作戦失敗。

 そしてこの非情なバカップルは、それすらダシにしてしまいました。彼女の行けなかった修学旅行中、しおりのお土産を買うという口実で、2人っきりでデートに走ったのです。こんなことがあっていいのでしょうか。よっぽど彼女たちのほうが失礼です。

T>ハハハハハ、そうかもな。

「幼なじみ」と人は言います。はづき自身も、「私たちはただの幼なじみ」と言っています。そう、「ただの」と、余計な修飾語をつけているのです。そんなことをしては、わざわざ自分から「『ただ』のではない」と自白しているようなものです。

 つまり、「幼なじみ」という言葉の裏には、必ずといっていいほど「今は幼なじみ」とか、「幼なじみ以上恋人未満」とかの意味が、実に勝手に加えられてしまっているのです。

 まさるとはづきはともかく、それを実生活に転用されてはたまったものではありません

T>そりゃそうだ。

 一体誰が、「幼なじみ = 恋人未満」などという公式を作り上げたのでしょう。幼なじみだからこそ、お互いの嫌な面を知りすぎて敬遠している場合も充分にあると言うのに。

 また、そんな風に決め付けられるから、逆に付き合いをしにくくなるということもあるかもしれません。

 幼なじみとかそういったこととは関係なく、あるいは幼なじみでお互いをよく理解し合っているから…そんな理由で付き合いたいのに、ベタだからと遠慮してしまう。

T>いや、ベタとかそういう話なのかよ!

 こんなありきたりなオチではいけない、もっと意外性を求めなければと…

T>いいだろ、自分たちの人生なんだから!

 そう考えて、付き合うのを諦めた幼なじみたちは一体何組いるのでしょうか。

T>そんな理由で諦める奴なんかいないよ!


 だから実生活上でも、幼なじみで結婚に至る例が少ないのです。

T>絶対違う。

 固定観念に縛られるが故、数多の人々を閉塞的な価値観に押し込めてしまう。その危険性を、我々はもう少し認識したほうがいいのかもしれません。

T>だからそんな問題じゃねぇんだよ!

 以上、コラムでした。

T>テーマが「矢田×はづき」になっちゃったじゃねぇかよ!


公開日:2002年08月18日