先日店で盗難騒ぎを起こした子供が 俯きながらぽつりぽつりとこぼす。 少年)私はあの子の、冬馬の姉なんです |
しばらく呆然としていたリカは声を荒げて少年に詰め寄る リカ)何をいっておるか、そんな言い逃れは通じんぞ! 少年)ほ、本当なんです、あの子が持ってきたコレが… そう言う少年の掌から、先日渡した物と同じネックレスの 残骸が零れ落ちた。 リカ)な!【魔法が発動してる!?】 少年)冬馬から聞いた話だと、ここで買ったって聞いて 彼女は悩んでいた、渡したグッズは一番効力の薄い安物。 魂の交換などできる筈がないのだ リカ)ひとつだけ聞くが、お前は本当に小僧の姉なんじゃな? 少年)は、はい! 深くため息をついたリカは少年に問いかける リカ)じゃあ状況を説明しておくれ、出来るだけ細かくな 少年)私、身体が弱くて入院していて、病室で寝ている私に 冬馬は何時もの様に話をしに来てくれたんです。 でも、両親が病室に入ってきてから暫くして、私の目前で 弟の首に下がってるペンダントが砕けたんです。 それから後は混乱してて詳しくは覚えてないんですが、 分かったことは冬馬と私が入れ替わっていたということだけ。 リカ)ふむ、信じられんことだがおぬし等の魂は肉体を離れ 交換されておる。だから今病室にいるお前が弟という訳じゃ。 リカから説明を受け、しばし呆然としていた少年はリカの袖口 にすがり付く様に願う 少年)お願いです、早く! 一時間でも早く元に戻してください! 余りに鬼気迫る雰囲気にたじろぎながらリカは疑問を口にする リカ)な、何じゃ急に、それに何故そんなに急ぐ必要がある? 少年)実はもうすぐ治療が始まるんです、とても強い薬を 使う治療で… 私は”慣れてるから平気”ですけど、冬馬 にはきつ過ぎるんです。お願いです、早く戻してください。 早口でまくし立てる少年に押され気味だったが、言うこと全てを 叶えるほどお人好しでもなければ慈善家でもなかった。 リカ)嫌じゃ! 大体そのペンダントは小僧が盗んでいった 物じゃ、何で泥棒の為に手助けしなければならんか! 初めて知る事実に少年は驚愕に目を見開くが、どもりながら もお願いし続ける 少年)す、すみません、すみません! お金だったら 後になれば幾らでもお支払いしますから… だからお願いします、お願いします 「幾らでも払う」という言葉を聴き、現金にも態度を急変 させるリカ リカ)おお、本当か! 戻そう、すぐ戻そう! 言うが早いか、少年に病室の場所をメモしながら、水晶玉を 取り出す。 少年)あの、本当に元に? リカ)いいから後ろを向いて目をつぶっとれ! 絶対に 見るでないぞ! それからこの”オマジナイ”のことは 口外無用じゃ、言ったらどうなってもしらんからな! 水晶玉の輝きと共に少年を送り出した彼女は、翌日 メモの通りに病院へと足を運ぶのだが… 続く |
公開日:2002年08月08日