長門かよこははづき以上に、人を傷つけることを恐れている少女だと思います。
なまじ自分が、傷つきやすい心を持っているだけに。
同じように、他人も傷ついてしまう。そう思っている気がします。

で…
その真逆に位置しているのが、どれみです。
いや、どれみだって繊細なんですが…彼女には史上最強の武器がありますから。
「世界一不幸」という、最強の武器が。
「世界一不幸な美少女だ〜」と叫ぶことで、降りかかる理不尽な不幸を受け入れてしまう。
これが、子どもである彼女なりの処世術であり、魔女見習いになる前から得意としていた《魔法》なんじゃないかと。

そして、かよことどれみの最も違う点は。
人を傷つけたくないから「動かない」のと。
人を傷つけたくないから「動く」=助けようとするところ、ではないかと。



「消えてしまいたい」
本編でかよこが言った、象徴的な台詞です。

自分の存在が、他人を不幸にする。
だからこそ、存在そのものを「消したい」――と。
そうすれば、みんなに迷惑をかけることはない。わずらわしいものがなくなって、みんな、幸せになれる。
自分以外は

しかし、どれみとの出会いを、「特別な一日」だと感じ始めたかよこは、確実に、「自分」という意識を取り戻した気がします。
何故なら彼女は、「特別」になりたい、と望んだんですから。



…でもって。
ちょっとだけ、かよこのこの意識に、引っかかるものがあったりするのですが。

「どれみちゃんがいてくれれば、毎日が変わる。どれみちゃんが変えてくれる。」

という、このフレーズ。
『も〜っと!』終盤で、遂に「特別な日々」をつかんだ彼女でしたが。
…その「特別」は、どれみなくして成り立たないのか、と。
どれみに依存して、日々を送ってはいないか、と。

『ドッカ〜ン!』の修学旅行編で、男女3名ずつの班を作ることになった時。
かよこは真っ先にどれみのもとに向かおうとしましたが、
ハナにどれみとももこを強奪され(笑)、定員オーバーに。
…その後、落胆するかよこの表情に、↑と同じ引っかかりを感じました。

結局かよこは、他の男子に誘われて、事なきを得たのですが…
もし誘われることがなかったら、彼女はちゃんと自分でどこかの班に加わることができたのか、と。

どれみだって、かよこだけが友だちなわけじゃない。
だからかよこも、どれみ以外の友だちを作らねばならないでしょう。
いつの日か、どれみと別れる日が来るのですから。

そのあたりの話を、『ドッカ〜ン!』とやってほしいと願う、今日この頃。

そしてそこまでかよこのキャラクタをとらえて、SSを書いているFMさんに脱帽。

今後とも、かよこの課題は続いているのでしょう。
まぁかよこと、クラスメートと、両親・先生たちさえいれば、少しずつ解けていくことでしょうが。

「特別な一日」を、「昨日と同じ」とまで感じられるようになる、その日まで。


公開日:2002年07月21日
第一次修正:2002年09月23日