ネット版 フレッシュプリキュア!
オールプリキュア超スピンオフ
File.1 陳情! よにんでプリキュアSplash☆Star
せつな |
「ラブ! 聞きたいことがあるの」 |
ラ ブ |
「眉毛の太いほうがキュアホワイトで、細いほうがキュアイーグレットだよ?」 |
せつな |
「違うわ。今気が付いたんだけど、歴代のプリキュアって私以外全員が普通の女の子よね」 |
美 希 |
「せつなだってあたしたちと同じでしょ? そもそもラビリンスの人たちは過去シリーズの敵幹部と違って、『人間体を仮の姿とする怪物』ではなく純粋な『人間』、って東京新聞に載ってたわ」 |
祈 里 |
「この世界とは違う、パラレルワールド出身のプリキュアがいなかったってこと?」 |
キュアブルーム&イーグレット |
『……! ……!』
(突然フリップを持ってラブの部屋に乱入、何故か無言) |
ラ ブ |
「……そのフリップの二人って、霧生満さんと薫さんだっけ? 確かカオルちゃんたちと一緒に、あたしたちが出た横浜でのダンスコンテストを見に来てくれてたような」 |
美 希 |
「あまり見られたくないダンスだったけどね……」 |
祈 里 |
「でも、衣裳がいつもと違うのはどうして? キュアブライトとウィンディに似ているけど」 |
実況のウエスター |
「どういうことだサウラー! イース以外にも、寝返ってプリキュアになった奴がいたというのか!?」 |
解説のサウラー |
「霧生満と霧生薫。双子の姉妹だとされる彼女たちは、滅びの国・ダークフォールの闇の戦士だ。アクダイカーンによって生み出され、空の泉を支配していたが、風のように気まぐれで月のように変わりやすい心を持っていた。プリキュアの通う学校に潜入し寝首をかこうとしたが、周知の通りミイラ取りがミイラになった。一度は囚われるも復活し、裏切り者の名を受けてプリキュアと共に戦った『女性戦士』さ」 |
実況のウエスター |
「最終決戦では月の力、風の力を受け変身を果たし、4人で合体技も撃っている。でもプリキュアじゃない――何故だサウラー!?」 |
解説のサウラー |
「月のイメージと風のイメージを持った結果、ブライトとウィンディに似た姿になっただけさ。服には無駄にキラキラした装飾も付いてないし、スカートも長いしね」 |
せつな |
「同じ追加戦士として許せないわ! 私より前に、運命を切り開こうとした先輩を見捨てるわけにはいかない。戦いましょう、ふたりが正式なキュアブライト、キュアウィンディになるその日まで!」 |
ラ ブ |
「これは……陳情だね」 |
せつな |
「陳情?」 |
ラ ブ |
「東映に乗り込もう! 行くよ美希たん、ブッキー、せつな!」 |
美 希 |
「待ちなさい。陳情に近いことなら、もうされてるわ。『フレッシュプリキュア!』の梅澤淳稔(うめざわあつとし)プロデューサーの前任者であり、プリキュアシリーズを立ち上げ5年間牽引し続けた鷲尾天(わしおたかし)プロデューサーに、ふたりがプリキュアか尋ねたインタビューがあるの」 |
祈 里 |
(美希ちゃん、凄い説明台詞……) |
Webマガジン幻冬舎 実況野郎文芸部 2009.8.1 VOL.5
特集INTERVIEW 加藤の実況取材道 VOL.1
「プリキュア」シリーズの生みの親 鷲尾プロデューサーにインタビュー編
(http://webmagazine.gentosha.co.jp/B-TEAM/vol208_special.html)内の、
袋とじ記事「闘うシーンに賛否両論」より引用
加藤 (前略)ところでブルームとイーグレットは途中からブライトとウィンディにフォームチェンジするじゃないですか、計4種類あるのは満と薫もプリキュアにするつもりだったのですか?
鷲尾 あれは当初から変身バリエーションを咲と舞に持たせたいと言うのがあって。満と薫については変身させるつもりはなかったんです。こっち側に来るっていうのは最初から決めていたけれども、彼女たちはプリキュアじゃないんです。
加藤 満と薫はプリキュアではない?
鷲尾 はい。プリキュアは観ている子どもたちにとって身近な存在でなければならないと思っています。日常生活を送っている女の子が不思議なきっかけで変身する。だからいつあなたの身に起こってもおかしくないですよ、というのがプリキュアなんです。だから満と薫はプリキュアではないけどもプリキュアと協力するスタンスを持ってるっていうことです。ただ当初から持ってる「花鳥風月」というコンセプトを彼女たちにも分け与えたかったというのはありますね。
加藤 「花が咲き、鳥は舞う、風は薫り、月は満ちる」ってありましたね。
鷲尾 満と薫のフォームチェンジは、プリキュア達に協力するって決断したときに月のイメージとか風のイメージを彼女たちに持たせました。プリキュアじゃないけど仲間なんだ、と意識させたシーンですね。
加藤 プリキュアではないけど、プリキュアに協力する立場っていうのが満と薫の正しい考え方なんですね。
鷲尾 はい、そうです。 |
せつな |
「私……子供たちにとって身近な存在なのかしら……昔は子供を突き飛ばしたりしたのに……ラブから貰ったペンダントを踏みつぶしたりしたのに……」 |
祈 里 |
「ああっ、せつなちゃんがまた公園で花壇を作ろうとして賽の河原状態に!」(※上北ふたご先生のなかよし連載版より) |
美 希 |
「……追加戦士についても、同記事の質問コーナーでこう語られているわ」 |
Q.14 |
ルミナスやローズがプリキュアじゃない理由は? |
A. |
プリキュアという存在は日常生活を送っている人であるべきかなって思ってるんです。プリキュアは観ている子供たちにとって身近な存在で、普通の女の子が不思議なきっかけで変身する。いつあなたの身に起こってもおかしくないですよ、というのがプリキュアなんです。子どもたちにとっては「見てる自分がプリキュア」なんですね。だからクイーンや妖精キャラが変身能力を身につけたら、それは「プリキュア」以外の存在なんです。 |
解説のサウラー |
「ほら、やっぱり普通の女の子じゃないとプリキュアになれないってさ。一度死んで生まれ変わるという、普通じゃない日常生活を送ってきた君は、プリキュアに相応しくない。ラビリンスに生きた者が、ラビリンスを捨ててどこかで生きていけるはずがないよ、イース」 |
実況のウエスター |
「だから戻ってこいイース! 今までのことは心配するな、俺もメビウス様のところに一緒に謝りに行ってやるから!」 |
解説のサウラー |
「……そんなレベルの話じゃなかったよね?」 |
ラ ブ |
「せつなはせつな、あたしたちとおんなじだよ。だってこれからいっぱい、その『日常生活』を送っていくんだもの」 |
せつな |
「ラブ……」 |
ラ ブ |
「あたしたちがどんな幸せな生活を送っているか、それを壊すのがどんなことか、気づいてくれたんでしょ? 誰もプリキュアになってなんて頼んでないのに、キュアパッションに変身して戦うことを決心してくれたのは、他ならぬせつななんだから」 |
祈 里 |
「せつなちゃんは、これから私たちと同じ『普通の女の子』になっていくの。それでいいじゃない」 |
せつな |
「……でも、満さんと薫さんは……」 |
美 希 |
「じゃあこうしましょう、せつな。満さんと薫さんができなかった分まで、せつなが精一杯頑張ればいい。プリキュアも、その普通の日常生活とやらも。ね?」 |
キュアブルーム&イーグレット |
『……!』(何故か無言のままサムズアップ) |
実況のウエスター |
「この満と薫とやらも、今はあの世界の人間として暮らしている……ということは、もし再びふたりが変身する時が来たのなら、それはプリキュアに他ならないだろうな。俺も全力で相手できるというわけだ!」 |
解説のサウラー |
「……ちなみに、昨年の追加戦士ミルキィローズは、一度たりともプリキュア5に混じって『Yes!』と掛け声を叫ぶことはなかったそうだよ。それが彼女にとってFUKOだったかまでは、僕の知るところじゃないけどね……」 |